全身脱毛の応用編

じっさい、子宮体ガンの生活調査をしたカーロらの報告によると、子宮体ガン患者は脂肪摂取量が多く、肥満、糖尿病、高血圧などを併発していることが多いとされた。
 子宮体ガンが肥満女性に発症しやすいのは、体脂肪が多すぎることによって性ホルモンのエストロゲンやアンドロゲンが血液中に増加するためと考えられている。  また、肥満患者におきやすい無排卵症や不妊により、黄体からのプロゲステロン分泌がなくなり、子宮内膜に蓄積された脂肪のなかに大量に存在するエストロゲンにさらされることも理由として挙げられている。
このエストロゲンが異常な増加を続けることで、子宮体のガン化が促進するのである。  なお、子宮頚ガンも肥満者が2・39倍と肥満が深くかかわっていると考えられているが、内分泌環境とはあまり関係なく、むしろ分娩による物理的な刺激やウイルスなどが引き金となって発症すると考えられている。

 子宮体ガンと並んで、肥満が重大なかかわりをもつガンといわれているのが乳ガンである。 先進国のなかでは飛び抜けて低かった日本人の乳ガン発生率だが、最近では急激な上昇を見せているので関心をもっていただきたい病気である。
 前述したアメリカ癌学会のデータによると、肥満度プラス40%以上の肥満者の乳ガンによる死亡比は1.53倍となっている。 また、癌研病理部のS先生によると、高齢になるにつれ、この危険度は上昇していくという。
 先生はブローカ変法で示した肥満度20%以上に該当する女性の乳ガンは、正常体重の人の1.3〜1.6倍となり、それが60歳以上の閉経後の女性となると、2.5〜3.2倍に跳ね上がると報告されている。  その理由については、西欧化した食事、なかでも脂肪のとりすぎが原因と考えられる。
60歳以上の女性は閉経後、主に副腎から分泌されるアンドロゲンがエストロゲンに転換される。 そのエストロゲンが、脂肪組織の多い肥満者の血中レベルを肥満でない人の数倍も高め、乳ガンを促進するのである。
 同時に肥満は、乳ガン患者にとっては予後不良因子となることも覚えておきたい。 予後不良因子とは何か。
それは、致命的なガンとなりやすいことを意味している。  それが証拠に、肥満度数が高いほど、発生後5年間生存できる確率が低くなり、確実に死に至ることがあきらかになっているのである。
 もちろん、乳ガン発生に関しては遺伝的な要因もある。 しかし、遺伝は自分の力では解決できない問題である。
乳ガンを一次的に予防するためには、体脂肪をつけすぎないこと、 つまり肥満を阻止することと肝に銘じてほしい。  S先生は乳ガンの高危険者群として、以下の条件を挙げているので参考にしてほしい。
 年齢は40歳以上、30歳以上の未婚者、未出産も含め、初産年齢が30歳以上、閉経年齢55歳以上生理が55歳を過ぎてもまだある)、標準体重プラス20%以上の肥満者、良性乳腺疾患の既往がある、乳ガンの既往がある、乳ガンの家族歴がある、などである。  もちろん、体脂肪過多による肥満がガンに関係しているのは女性だけではない。

男性の場合は大腸ガン、前立腺ガンなどが肥満と関係すると考えられている。  肥満度プラス40%以上の男性の大腸ガン発生率は、標準体重者の1.73倍というA癌学会からの報告がある。
これまで欧米人にくらべて、日本人は大腸ガンよりも胃ガンの発生率が高いというのが通説だった。 しかし、食生活の西欧化が日本人にも浸透し、その結果として大腸ガンの増加を招いているのが現状である。
 このように、ふだんの栄養摂取の状態が脂肪過多となることと食物繊維が少なすぎることが、大腸ガン発生の理由と考えていい。 連日、ビーフ、ポーク、チキン、ハムなどの肉類を食べ、野菜や海藻のとり方が少ない食習慣のある人ともなると、大腸ガン発生率は2.49倍にもアップするという調査結果もある。
 また、欧米型の食事が悪影響を及ぼす例として、同じ日本人でも、ある県からアメリカに移住した人は、日本に残った人との比較で、大腸ガンの死亡率が2.5倍も高いとされている。 やはり、体脂肪の蓄積には、ふだんの食生活が非常に重要なかかわりをもっているのだ。
毎日の食生活を見直し、運動を取り入れて体脂肪過多にならないようにすることしか、大腸ガン発生を抑える特効薬はないと考えるべきだろう。  前立腺ガンもビタミンA、C不足などの食生活に問題のある肥満者に、多く発生することが疫学的調査で判明している。
それによると、肥満者の前立腺ガンの危険度は、標準体重者の2.5倍。 なかでも、脂肪の多い動物性食品の摂取量が多い人となると、3.6倍になるという。
 高脂血症も肥満が発症に深く関与する病態である。 O大学の肥満外来診療に訪れた肥満患者207人の血液検査では、62%に当たる128人に高脂血症を認めたという例もあるほどだ。

 高脂血症とは、血液中の脂肪成分が病的に多くなった状態をいう。 脂肪成分というとなじみにくいかもしれないが、血清脂質と呼ばれ、コレステロールや中性脂肪を指すと解説すれば、聞き覚えがある方も多いのではないだろうか。
 健康診断の結果欄を見れば、たいていの場合、コレステロールや中性脂肪の値が記されているはずだ。 このうち、コレステロールの値が高ければ高コレステロール血症、中性脂肪の値が高ければ高中性脂肪血症と分けて呼ぶこともあるが、一般には総称して高脂血症と呼ぶことが多い。
 では、血中のコレステロールや中性脂肪が異常に多くなると、具体的にどうなってしまうのか。 簡単にいうと、この状態が続くと動脈硬化が進行し、血管の内側の膜に瘤ができ、血液の流れが細くなる。
そして、最終的には瘤が破裂して血管が詰まってしまうのだ。  血管が詰まると、血液が身体の各組織に運ばれなくなる。
こうなると、壊死と呼ばれて各組織が死んだ状態になってしまうのである。  これが、脳梗塞や心筋梗塞という病名で呼ばれる状態である。
当然、これらの病魔に襲われると、死亡したり、生存できたとしても大きな後遺症が残ることになる。 コレステロールや中性脂肪は、健康診断や献血などの際、採血するだけで簡単に測定できるので、ふだんから自分自身の値をチェックし、正常か否かを知っておいてほしいものである。
 それでは、コレステロールや中性脂肪が正常か否かはどう判断すればいいのか? その根本原理とともに紹介しておこう。  まずは、コレステロールが身体でどのような働きをしているのかからスタートする。
血清脂質のコレステロールは、肝臓で合成されたり消化管で消化吸収された後、血液中に溶け込む。 そして、これらを必要としている組織まで運ばれて、血液中から取り込まれ、ホルモンの原料などとして利用されている。
 もしも、コレステロールが余ったとすると、ふたたび血液中に戻されて肝臓に送られ、運ばれた組織のなかには必要以上に溜まらないよう調整されている。  この前者の、利用されるべく各組織に運ばれていくコレステロールを悪玉コレステロール、後者の戻されていくコレステロールを善玉コレステロールと呼んでいる。

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